冷え性が便秘と痔の原因になることもある?相談できない女性の悩みを解消します

「痔」と聞くと男性の病気のように思われるかも知れませんが、実は女性にも多く、症状があらわれても恥ずかしさから治療せずに悪化してしまうこともあります。

痔になる原因はさまざまありますが、便秘やからだの冷えも原因のひとつといわれています。この記事では、痔について知ったうえで悪化させないための対策をご紹介していきます。だれにも相談できずに痔に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

そもそも「痔」とはどんな病気?

痔とは、肛門や肛門周辺に起こる病気を指します。痔は症状によって3つの種類に分けられており、それぞれ原因や症状が異なります。

また痔は、3人に1人が発症すると言われるほど身近な病気ですが、女性は痔に対する恥ずかしさから、症状があらわれても放置して治癒が遅れることも…。原因や症状を知って少しでも早めに対策を行いましょう。

いぼ痔(痔核)

いぼ痔は、肛門の内側にできる内痔核(ないじかく)と、肛門の外にできる外痔核(がいじかく)の2つの種類があります。痔の中ではいぼ痔がもっとも多く、痔を患っている方の約50%がいぼ痔と言われています。

内痔核は痛みがほとんどなく、排便時の出血でいぼ痔に気付く人が多いといわれています。また、内痔核が進行すると肛門の外へ飛び出したり、次第に指で押し戻しても戻らなくなったりすることも…。一方の外痔核は、腫れを伴って激しく痛みますが出血は少ないという特徴があります。

切れ痔(裂肛)

肛門の粘膜が裂けた状態が切れ痔です。切れ痔の原因は慢性的な下痢によるほか、便秘で固い便をいきんで出そうとする刺激で裂けることが多いです。

切れ痔を繰り返すと、裂け目に炎症が起きてポリープができ、肛門が狭くなることもあります。

痔ろう(あな痔)

肛門の組織が大腸菌などの細菌に感染すると、皮膚を破って直腸から1本のトンネルができる症状を痔ろうといいます。肛門付近の皮膚が腫れて激しい痛みが出るほか、発熱を伴うこともあります。できてしまったトンネルから膿が漏れるため、下着の汚れで痔ろうに気付く方が多いです。痔ろうは市販薬では治すことはできず、肛門専門医での治療を要します。

女性に多い痔になる原因とは?

痔になるのは男性より、むしろライフスタイルの変化や体質的に女性の方が痔になりやすいと言われています。ここでは女性に多い痔になる原因について見ていきましょう。

原因1:便秘

女性の痔の原因で多いのは便秘です。女性は男性に比べて腹筋が弱く、便を押し出す力がそもそも弱いのが便秘の原因のひとつです。

また、月経前は黄体ホルモンの影響で腸の動きが抑制されるうえ、黄体ホルモンの水分を体内にため込む作用により便が固くなり、出にくくなることも便秘の原因です。

さらに、過度なダイエットが便秘を招くこともあります。食事量が減ると便の量も減ってしまうためです。ダイエットをする場合は、カロリーを抑えつつ、便の量を増やすために食物繊維をしっかり摂るようにしましょう。

原因2:妊娠・出産

女性は妊娠から出産までの期間中、宮が大きくなって肛門付近の血流が悪くなり痔になることがあります。また、出産は胎児を押し出すために強くいきむため、内痔核ができてしまうこともあります。

原因3:長時間のデスクワーク

座りっぱなしになりやすいデスクワークも痔の原因のひとつです。長時間同じ姿勢で座るデスクワークは、肛門周辺の血液循環を悪化させてしまいます。

肛門付近の血管は毛細血管が多いため、血流が悪くなるとうっ血した状態になりやすく、さらに血流が滞るという悪循環に陥ります。

原因4:体の冷え

体が冷えると、筋肉や血管の収縮により肛門周辺の血流も悪くなって痔ができやすい状態になります。

また、女性は男性よりホルモンバランスが乱れやすいため、体の冷えが起こりやすく、痔になりやすいといえます。

痔は、夏より血流が悪くなりやすい冬の発症が多いのも、痔と体の冷えが関係していることをあらわしているといえるでしょう。冷え性の方は特に夏の冷房の効きすぎにも注意しましょう。

痔を悪化させないための3つのセルフケア

これまでお伝えしたように、さまざまな要因によって女性は男性より痔になりやすいといえます。しかし、生活習慣の改善や心がけで痔を防いだり、改善したりすることができます。

痔を予防・改善するためには次の3つがとても大切です。

  1. 便秘を解消する
  2. 症状に合わせて市販薬を使用する
  3. 冷えない体作りを心がける

ひとつずつ見ていきましょう。

便秘を解消する

痔になる大きな原因は便秘です。肛門付近で固まった便を排泄する際、強くいきんで肛門に負担をかけ、うっ血してしまうためです。便秘を解消するために、日常生活で以下の3つに気を付けながら過ごしてみてください。

1:1日1回は排便のためにトイレに行く

便意がなくても、最低でも1日1回は排便のためにトイレに行くようにしましょう。トイレに行く時間を決め、トイレに数分座るだけでも意識が自然と排便へとつながります。朝食後は胃腸の働きが活発になるので、排便の習慣がつきやすいといえるでしょう。

ただし、便意を起こすために強くいきむのは痔の発症・悪化につながってしまいます。いきまず、トイレに座るだけにとどめましょう。また、便意がある場合は、ガマンをせず便意を逃がさないようにすることも便秘解消につながります。

2:バランスの良い食生活とこまめな水分補給を心がける

痔を悪化させないためにバランスの良い食事を心がけ、こまめに水分を補給するようにしましょう。

ファストフードやお菓子などは極力避け、食物繊維が豊富な野菜や豆類、海藻類を摂取するほか、腸の働きをよくするヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品も積極的に摂るようにしてください。

また、体内の水分が不足すると便が固くなって便秘がちになります。汗をかきやすい夏はもちろん、冬でもこまめに水分を補給するようにしましょう。冬の水分補給は、体を冷やさないためにも体温以上に温めて飲むことをおすすめします。

3:適度な運動をする

痔を発症・悪化させないためには適度な運動もかかせません。特にデスクワークの方は長時間座りっぱなしになっていることが多く、肛門周辺の血行が悪くなっています。

仕事中でも時々立ったり歩いたりするほか、1時間に1回はトイレに行ったりするなど、こまめに体を動かすようにしましょう。

電車通勤をしている方なら、1つ前の駅で降りて歩いたり、自転車通勤を取り入れてみたりするなど日常的に体を動かすようにしてみると全身の血行が良くなります。

症状にあわせて市販薬を使用する

痔の症状があっても病院で治療を受けることに抵抗があるなら、症状に合わせて市販薬を使用してみましょう。

痔の市販薬は、坐薬や軟膏のほか、注入軟膏や内服薬があり、痔の初期症状の場合は、市販薬の使用で症状が緩和する場合があります。しかし市販薬を使用しても症状が改善しない場合や、痔ろうで下着が汚れている場合などは、できるだけ早く肛門専門医に相談することをおすすめします。

特に女性は肛門科を受診するのをためらう方が多いですが、他の患者と顔を合わせずに診察を受けられるプライバシーに配慮したクリニックも増えています。近隣でそうしたクリニックを探してみましょう。

冷えない体作りを心がける

痔の原因はさまざまありますが、体が冷えて血行不良が起こることも大きな原因のひとつです。

特に下半身が冷えると肛門周りの血行も悪くなるため、腰に使い捨てカイロを貼ったり、腹巻きを活用したりして体を冷やさないようにしましょう。

また、体を冷やす食べ物は避け、体を温める食材を摂るようにすると血行が良くなり痔の予防につながります。

さらに、夏でもシャワーで済ませず、湯船に浸かって体を芯から温めることも、冷えない体作りにはとても大切です。

まとめ

痔にはさまざまな原因がありますが、その根本はホルモンバランスの乱れや血行不良による体の冷え、便秘にあるといえます。

痔を放置すると急激な悪化を招き、手術が必要になることもあります。日頃から体を温めるよう心がけ、便秘にならないような対策を講じましょう。

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