最近よく聞く「フェムテック」「フェムケア」とは?
「フェムテックってなに?」
「フェムケア商品ってどんなものがあるの?」
女性の社会での活躍やテクノロジーの発達により、近年注目が集まっているフェムテック及びフェムケア。
しかし、その具体的な内容を理解している人は意外と少ないのではないでしょうか? ベンチャー企業だけでなく大企業も注目し、さまざまな企業が取り組み始めている市場であり、経済産業省による補助金を拠出する実証実験が開始されるなど、今後は益々注目が集まっていくことでしょう。
そこで今回は、フェムテックとフェムケアについて詳しく解説していきます。
最後までお読みいただくことで、フェムテックとフェムケアの概要や注目を集めている背景、具体的なサービスやフェムケア商品について理解を深められるでしょう。
フェムテックとは?
フェムテック(Femtech)とは、女性(Female)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語です。
一般的に、女性が抱える月経や妊娠、不妊、更年期、婦人科系疾患などの健康課題をテクノロジーで解決するサービスや製品の総称を指します。
例えば、海外のベンチャー企業では生理痛の改善や月経周期の予測、妊娠中のQOL向上、不妊対策、更年期障害の改善、セクシャルヘルス、女性特有の病気などのケアについて取り組まれています。
日本でも広く認知されている生理予測・妊娠をサポートするアプリも、実はフェムテックに当てはまるサービスです。
フェムケアとは?
一方のフェムケア(FamCare)とは、女性の(Feminine)とケア(Care)の掛け合わせで作られた造語です。
女性特有の性や、ホルモン分泌に関連した悩みを解決してくれる製品やサービスを指します。
フェムテックと同様、女性に関連したさまざまな課題を解決してくれるサービスですが、テクノロジーを駆使し解決する分野がフェムテック、フェムケアはテクノロジーではない製品という点で違いがあります。
フェムケアは、これまでは取り上げられにくいとされていた分野ですが、ファッション誌などで取り上げられる機会が増え、最近ではユニクロやGUがフェムテック・フェムケア市場に参入したことで話題になっています。
なぜフェムテックやフェムケア商品に注目が集まっているの?
フェムテック・フェムケアの市場は、女性の健康問題、いわば世界の全人口の約半分の健康問題に取り組む分野と言えます。そのような市場の大きさを背景に、参入する企業が増えています。日本国内でもその注目度の高まりから、今後さらに市場が拡大していくと考えられます。ここでは、このように注目が集まるようになった背景について具体的に解説します。女性の就業率増加に伴う働く女性の健康課題
近年では女性の社会進出から就業率が上昇しており、2020年度の労働力調査では、日本国内の女性就業者は約3,000万人にのぼるとされています。
政府の方針でも、女性の活躍を推進する取り組みが活発になっていますが、女性にはライフステージによって、月経、妊娠、不妊、産後ケア、更年期、婦人科系疾患、セクシャルウェルネスといった健康課題があります。
女性が抱える健康課題について、さらに詳しくみていきましょう。
月経などの不調による仕事への影響
個人差はあるものの、女性には月経前や月経期間中にさまざまな不調が現れます。
症状の重さによっては、仕事の勤務自体が困難になり欠勤してしまう、勤務できても仕事のパフォーマンスが落ちてしまうなどの影響があります。
症状に対して対処できなかったり、社会や企業が支える環境づくりができていなかったり、そのような現状から継続的な仕事ができなくなる懸念があります。
そのことで、キャリアアップの機会を失ったり、キャリアが止まってしまうこともあるでしょう。
不妊治療と仕事の両立課題
近年の晩婚化と技術の発達に伴い、不妊治療を受ける夫婦、生殖補助医療(体外受精、顕微授精、凍結胚を用いた治療)で生まれる子どももめずらしくなくなっています。
一方で、これらの治療には、金銭的、時間的、精神的、身体的な負担があります。働く女性にとって特に大きな問題となるのは「時間的な負担」です。
また、不妊治療における女性の通院負荷は男性の通院負荷と比較し、非常に高くなっています。
更年期症状による仕事への影響
女性の更年期は一般的に、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間を指します。
この時期は女性ホルモンの分泌量が大きく減少するため、更年期症状が現れます。 症状には個人差がありますが、出勤することが困難になったり、仕事をすることがつらくなったりすることも。この症状に苦しむゆえに昇進を辞退したり、退職を選んだりする女性もいます。
更年期・閉経については、男性と女性のホルモンの変化はまったく異なります。男性と比較し、閉経を機に女性ホルモンが激減する女性の心身への負担は甚大です。 女性の健康課題の一例を挙げましたが、さらに女性は結婚・出産・育児といったライフイベントもあり、さまざまなイベントと並行しながら仕事をしなければなりません。
このような状況が続くと、人手不足が叫ばれている日本経済においても影響が大きいために、社会全体としてフェムテックやフェムケア商品の活用が注目を集めるようになっています。
ITテクノロジーの発展による変革
近年のテクノロジーの発達も、フェムテック分野の追い風となっています。
誰にも共通して関心の高い「健康」という分野に、女性特有の悩みに適切な治療法を提供するフェムテックが注目を集めるのは当然のことと言えるでしょう。
女性が声をあげやすい社会へ
フェムテックは、これまで取り上げられにくかった女性の「性」に関する課題を、解決に導くという意義ある取り組みです。
月経や妊娠、性に関わる話などは多くの女性が悩みを抱えているにも関わらず、他人にはなかなか共有しづらいもの。それが近年は少しずつ可視化されるようになった社会背景があります。
フェムテックの活用とフェムケア商品について
働く女性の増加と、その活躍に伴う女性の健康課題。それに対応する形で注目が集めているのがフェムテックとフェムケア商品です。ここからは、現在普及しているフェムテックに関するサービスと、フェムケア商品の具体例について紹介します。
フェムテック活用の具体例
ここでは、フェムテックを活用した具体的なサービスについて紹介します。
(1)健康管理サポート
排卵日、基礎体温、不妊治療の記録など、健康に関するデータを登録して管理できるサービスがあります。テクノロジーの発達から、最近では記録したデータを医療機関と共有できるサービスもあります。
(2)医療支援サービス
通院の負担や検査の痛みを軽減するような製品、サービスが増えています。
例えば、月経前症候群(PMS)の緩和に効果がある低用量ピルをオンラインで処方し、自宅まで処方薬を配達してもらえるサービスがあります。
通常、低用量ピルを処方してもらうためには定期的に通院する必要があります。しかし、仕事や業務の都合上、日中に病院に行く時間が確保できないことがあるため、オンラインで処方してもらえるサービスは高い利便性があります。
(3)専門家への相談・サポート
チャット、ビデオ通話などを通じて医師や看護師、カウンセラーに相談ができるサービスがあります。
気軽に相談でき外出する必要がないため、利便性の高いと言えます。不妊治療や更年期症状では精神的なサポートが必要になることも多く、専門家への相談・サポートは女性からも高い需要があります。
(4)簡易検査キット
卵巣年齢チェックが、自宅でできる検査キットも開発されています。
一般的には加齢により妊娠が難しくなりますが、不妊で悩んでいる人が簡易検査キットを活用することで簡単に卵巣年齢を調べられます。
それにより、医療機関への早期受診につながり、不妊治療の成功確率の向上が見込めるでしょう。
注目されている代表的なフェムケア商品
ベンチャー企業だけでなく、大企業も参入し始めているフェムケア市場。近年は、そのアイテムにも多様なものが広がりつつあります。
ここからは、注目されている代表的なフェムケア商品について紹介します。
吸水型サニタリーショーツ
ナプキンやタンポンを付けなくても、経血を吸収してくれるのが吸水型サニタリーショーツです。
吸収体を内蔵したショーツで、生理用品を取り替える煩わしさを緩和できます。ショーツ単体での使用は推奨されていないようですが、経血の量が少なく軽い日は問題なく着用できるようです。
オーガニックナプキン・布ナプキン
・オーガニックナプキン
無農薬のコットンを使用した使い捨てナプキンで、肌への負担が少なく、かぶれやムレを抑えてくれます。吸収剤も自然由来のものを使用し、デリケートゾーンの冷えを軽減できる期待があります。
・布ナプキン
布製で繰り返し使用できるタイプのが布ナプキン。
繰り返し使用するために洗ったり干したりする手間がかかりますが、布製なので下着と同じ感覚で使用できるメリットがあります。
オーガニックナプキンと同様で肌への負担が少ないため、肌が弱い女性にとって嬉しい商品ですね。
冷え対策商品
冷えにより血行が悪くなると、さまざまな体内の臓器に不調が現れます。
女性は特に、冷えで子宮や卵巣に不調が出やすいため、生理痛や生理不順などが起こりやすくなります。
これらを改善するためにおすすめなのがフェムケア温活商品です。 例えば、無農薬よもぎが織り込まれていて、下半身から温められるナプキン型のパッドや、保温力の高いシルク生地を使用した腹巻き。人の体温を蓄えて温める特殊繊維が使用されたショーツ。
暑さやムレのない快適さで、一般的なショーツよりも全体をすっぽりロングカバーされている製品。
さらに、温め効果がありながらファッション性の高いレッグウォーマーなど、あらゆるフェムケア温活商品が開発されています。 その他、健康食品やサプリメント、漢方薬など女性の健康を支える食品関連の開発にも注目が集まっています。
女性目線で考案されたきめ細かい配慮がされた商品など、次々と広がっていくことが期待されています。